「数学はあなたのなかにある」

「数学はあなたのなかにある」という本を買いました。

mathematicsを「数学＝数の学問」と訳すのがそもそも誤訳だという話を

敬愛する森田真生さんという数学の独立研究者の方の講演で聞いたことがあります。

mathematicsの語源である

ギリシア語のta mathemata(タ・マテーマタ)という言葉は元々

「すでに知っていることを学ぶ」

という意味なのだそうで。

つまり，「すでに知っていることを自ら再発見していく営み」

こそがmathematicsということで，

「数の学問」というのは数学の一側面に過ぎない，と。

過去の人類の歴史の中で，

色々な文明の中からそれぞれのタ・マテーマタが生まれて，

交流して，発展してきたのは，

もちろん，その当時の科学技術からの要請による部分も

大きかっただろうとは思うのですが，

それ以上に，「タ・マテーマタ」的なものが，

人間それぞれの中に元々潜んでいるからではないかと私は思うのです。

この本の内容の中には

幾分こじつけっぽく感じる部分も無いではないですが，

少なくとも

「数学は今や経済学でも重要でね」

とか，

「素数は暗号に使われているんだよ」

などと，数学の実利性を前面に出して諭そうとするより，

「タ・マテーマタ的なものは人間の中に元々あるものなんだ」

と主張するこの本を読ませる方が，

世の数学嫌いの子を減らすのには役立つのではないか，

と私は感じています。

お勧めですので，よければ一度本屋で手に取って読んでみてください。

中の絵もとてもかわいいです。

あ，〇塾にも置いておきますので，ぜひ。